ジャンクション

悪性リンパ腫となった女の闘病記とか日常のなかで思ったことを綴る。

残してくれたもの。

退院予定日、わたしは廊下で気を失って倒れたのだ。
しかも頭を打った。数日経った今でも、右側の頭部から目のあたりが痛かったり両腕に痣ができてたり腫れてたりする。なかなか派手に倒れたみたいだ。

恐らく起立性低血圧…?または貧血…?


準備万端、退院するまで時間があったのでわたしはベッドに腰かけてスマホアプリで麻雀をしていた。わたしは成績が悪く負けてしまった。
「あ、トイレいこ」
わたしは立ち上がった。ふと、なんだかくらくらした。
「おや?」
汗が出てくる。まぁちょっと暑いからな。
トイレに向かおうとした。

ぐらぁん…

くらくらした。トイレにいけなかった。

「駄目だ。ベッドに戻って横になろう」

引き返して病室に戻ろうとした。

そこで一旦、意識がシャットダウン。

本当に倒れた前後の記憶がないんだよ。

びっくりだよ。


気がつくと

「大丈夫!?」

と看護師さんたちに囲まれていた。
「だいじょうぶじゃない…」
と言った気がした。意識が朦朧とした。
ストレッチャーに乗せられて医務室へ運ばれ点滴をさされた。

段々と視界がクリアになっていった。
主治医曰く
「基本的には抗がん剤による体調不良だね。小学校の全校集会あるでしょ?あれの途中で倒れちゃう子供と同じ現象だと思う」
要は貧血と。

退院よていだったけど1日延期になりましたとさ。

頭を打ったとのことで頭部CTをとりましたわ。
ストレッチャーに乗せられわたしは動くことを許されずまな板の上の魚状態でしたわ。

1日個室で過ごしました。
「え、お金はかかるんですか?」
具合悪いのに言ってる場合か。
「お金かからない部屋ですよー」
よかった。

偶然なのか。
その個室はマダムが最期に使った部屋だった。
マダムにメールを送って数日、返事はかえってこなかった。

1日なにをするにも看護師さんを呼ばなきゃいけなくて。トイレや売店いくときは付き添ってくれた。
わたしは今まで付き添っていた方なので自分が患者側になっていろいろいと勉強になるというか利用者さんたちの遠慮する気持ちとか色々とみえてくるものがあった。
でも最終的に言ってくれた方がありがたい、という結論に至った。

その日、天気がよくて窓からみえる景色をよく眺めていた。綺麗でさ、ほんとうに綺麗だと写真に撮るよりか目に焼き付けておきたいわけよ。
スマホでなんでも記録に残せるけどリアルタイムの景色には勝てないところあるじゃん。

そんなときメールが届いた。
マダムのアドレスからだった。
開いた。
娘さんからだった。
マダムがストレッチャーで運ばれた日に永眠したことを伝えてくれた。

わたしはお悔やみの言葉とお礼の言葉を伝えた。

なんだか偶然なのかな。
マダムが最期を迎えた部屋でメールが届いたの。
もしかしてマダムが呼んでくれたのかな。
このまま帰ったら大変なことになるから1日休みなさいとか。はたまたいつまでもうじうじしているわたしにイラついて「しっかりしなさい!」と渇をいれてくれたのか。

すべてが結果論だからわからないけれど。

その日から「絶対に治してやる」という気持ちが強くなった。

のに、今日ちょっとネガティブになっちまった。

なかなか難しい。

頑張りすぎない程度に頑張ろう。

なかなか難しい。